六日間
六日間 (日記) 與謝野晶子 三月七日 机の前に坐ると藍色の机掛つくゑかけの上に一面に髪の毛の這つて居るのが日影でまざまざと見えた。私はあさましくなつ…
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六日間 (日記) 與謝野晶子 三月七日 机の前に坐ると藍色の机掛つくゑかけの上に一面に髪の毛の這つて居るのが日影でまざまざと見えた。私はあさましくなつ…
Read More猫 宮沢賢治 (四月の夜、とし老とった猫が) 友達のうちのあまり明るくない電燈の向ふにその年老った猫がしづかに顔を出した。 (アンデルゼンの猫を知って…
Read Moreワーニカとターニャ 宮本百合子 黄色いモスクワ大学の建物が、雪の中に美しく見える。凍った鉄柵に古本屋が本を並べてる。 狭い歩道をいっぱい通行人だ。電車…
Read More癩 島木健作 新しく連れて來られたこの町の丘の上の刑務所に、太田は服役後はじめての眞夏を迎へたのであつた。暑さ寒さも肌に穩やかで町全體がどこか眠つてで…
Read More闇汁圖解 子規 一、時は明治卅二年十月二十一日午後四時過、處は保等登藝須發行所、人は初め七人、後十人半、半はマー坊なり。 一、闇汁の催しに群議一決して…
Read Moreマードック先生の『日本歴史』 夏目漱石 上 先生は約やくの如く横浜総領事を通じてケリー・エンド・ウォルシから自著の『日本歴史』を余に送るべく取り計はか…
Read More葉 太宰治 撰えらばれてあることの 恍惚こうこつと不安と 二つわれにあり ヴェルレエヌ 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。…
Read More泣いてゐるお猫さん 村山籌子 ある所にちよつと、慾よくばりなお猫ねこさんがありました。ある朝、新聞を見ますと、写真屋さんの広告が出てゐました。 「写真…
Read More台川 宮沢賢治 〔もうでかけましょう。〕たしかに光がうごいてみんな立ちあがる。腰こしをおろしたみじかい草。かげろうか何かゆれている。かげ…
Read More最後の一句 森鴎外 元文げんぶん三年十一月二十三日の事である。大阪おおさかで、船乗り業桂屋太郎兵衛かつらやたろべえというものを、木津川口きづがわぐちで…
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