帽子のない水兵
まだ横須賀行の汽車が電化しない時のことであった。夕方の六時四十分比、その汽車が田浦を発車したところで、帽子を冠らない蒼い顔をした水兵の一人が、影法師のようにふらふら二等車の方へ入って往った。
(またこの間の水兵か)
それに気の注いた客は、数日前にもやはりそのあたりで、影法師のようなその水兵を見かけていた。その時二等車の方から列車ボーイが出て来た。
「君、この間も見たが、今二等車の方へ往った水兵は、なんだね」
列車ボーイは眼をくるくるとさした。
(またこの間の水兵か)
それに気の注いた客は、数日前にもやはりそのあたりで、影法師のようなその水兵を見かけていた。その時二等車の方から列車ボーイが出て来た。
「君、この間も見たが、今二等車の方へ往った水兵は、なんだね」
列車ボーイは眼をくるくるとさした。
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